Column

2017.01.13

プログラマティック広告関連事項の2017年展望


エスワンオーインタラクティブ
代表取締役社長 高瀬 大輔

新年明けまして、おめでとうございます。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
早速ですが、2017年の最初のコラムをお届けします。内容としましては、2016年の総括( http://s1o-i.jp/column/2016/1128/)と同様に、プログラマティック広告業界に特化した内容となっています。それでは、宜しくお願い致します。

【2017年展望サマリ】
(1)改めて1st party dataの重要性が高まる
(2)AIというよりも機械学習が活用される
(3)リターゲティングが再考される
(4)人材と体制の確保が求められる
(5)改めてユーザー視点でのプログラマティック広告の活用が再考される

それでは、以下より詳細にお伝えしていきます。

(1)改めて1st party dataの重要性が高まる
数年前から1st party dataは当たり前のように活用されています。ただ、多くはオウンドメディアへの来訪ユーザーのデータをリターゲティング配信に活かす、購買ユーザーのデータをLook-A-like配信に活かす、といったものが多くを占めていたと思います。これらは引き続き取り組まれていくものではありますが、より一層自社が保有するデータ=1st party dataの活用がされていくと思います。

オウンドメディアへの来訪ユーザーが外部メディアでどういった行動(検索行動、閲覧行動等)をしているのか。自社に多くの利益をもたらしてくれるユーザーはいつ、どこにいるのか。どのタイミングでユーザーと接触し、アクションしてくれているのか。それは広告なのか、それ以外の「何か」なのか。

つまり、広告配信以前に、データ分析を元にしたバリューチェーンの最適化がより行われていくと思います。結果としてプログラマティック広告の買い付けも、自社の事業にとっていかに利益に繋がるのか、という逆引きした分析結果を元に行われていくでしょう。例えば、「ラストクリックのダイレクトレスポンス目的」から「幅広い選択肢(プロスペクティング配信から短期的な獲得目的の配信まで)からターゲット選定を行うこと」に変化していく、といったように。

改めて1st party dataの重要性が高まっていく1年になると思います。

(2)AIというよりも機械学習が活用される
昨年はAIというキーワードが飛び交った印象があります。それは、もちろんWeb広告の世界でも耳にしましたが、個人的にはAIというより機械学習の重要性が高まっていくと感じています。(AIという分野の中に機械学習というジャンルがある、という理解です)

プログラマティック広告においての機械学習。それは、いわゆる自動化機能です。プログラマティック広告では事前の広告活動の設計≒プランニング部分をしっかりと行った上で実行し、それを緻密に運用します。そして得られるものが結果データです。この結果データを次のアクションにどう活かすのか。ここで登場するのが機械学習です。

得た結果データを機械学習が出来るシステムに与える。(アドテクでは、ベンダーが提供する配信システムに自動的に組み込まれます。)システムが学習しアルゴリズムを得る。そして、精度の高い予想や分析をアウトプットするのです。プログラマティック広告で活用されるデータの例として、

・検索行動などの「行動データ」
・時間帯や回数などを軸とした「広告接触データ」
・広告の配信先である「配信先データ」
・ランディングページ内の回遊などを軸とした「サイト訪問後データ」

等があります。
これらを基に適切なアウトプット(新たな配信方法や最適化など)を実現するのです。

一方で機械学習においてはインプットされるデータが非常に重要となってきます。(インプットされたデータを基に機械学習が働くため)上記の広告接触データなどを正確に取得するためには、アカウント構成の作り込みからタグ設置の設計、タグマネジメントを活用した詳細なタグ発火条件の設定等がしっかりと対応出来ている前提となってきます。
膨大な量の数値が即座に確認でき、早期にアクションに繋げられるプログラマティック広告ゆえに、まさにデータの分析や予測を機械によって自動化することが重要になってくるでしょう。

(3)リターゲティングが再考される
昨年後半から幾つか同様のトピックを見聞きすることが増えてきました。もちろんリターゲティング広告の価値においてはダイレクトレスポンス目的(ラストクリックベースのCPA指標の案件等)のプロモーションにとって今後も重要なものとなっていくことは間違いありません。一方で、広告主、広告代理店、トレーディングデスク、アドテクベンダー各社がリターゲティング偏重からの脱却にチャレンジしつつも、しきれなかったことも事実だと感じています。

そのような背景のなか、幾つかリターゲティングを見直す考え方が出てきています。単純にリターゲティング配信への投下予算を削減してもCV数が変わらないという考察(リターゲティング配信がインプレッションやクリックのパスに差し込まれているだけで、それが無くてもCVが生まれる、という内容)もあれば、指標の変更、つまりラストクリックでのCPAではなくCV後の収益への貢献(ROASやROI、LTVといった指標)を重要視し、リターゲティング配信以外の配信手法を活用する傾向が増えてきたことも要因として挙げられるでしょう。

※Fringe81さんのブログでは、以下のような内容のトピックがありました。中々刺激的な内容ですね。
http://www.fringe81.com/blog/?p=2376
 
本コラムの一つ目にも記載した「改めて1st party dataの重要性が高まる」とも連動する内容だとも思います。

(4)人材と体制の確保が求められる
プログラマティック広告を活用する広告主は年々増えております。Web広告をプロモーションに活用する企業のほとんどがプログラマティックバイイングを駆使した広告≒プログラマティック広告を活用していると言っても過言では無いでしょう。(個人的な感覚値ですが)

ただし、その際の人材と体制をこれまで以上に突き詰めて検討し、対処していく必要が出てくると感じています。プログラマティック広告は専門性の高い領域です。システムを含めて仕組みを深く理解しているのか否か、それを踏まえてプランニングから運用までを実行できるのか否か、付随する分析などの特定の領域に特化したスキルをどう補うのか。各々の領域のプロフェッショナルを束ねる必要が出てきますが、結果として中々実現しえない状況もあります。

プログラマティック広告の世界においては結局は「会社」ではなく「人」が重要、ということです。いかに優秀な人をプロジェクトに巻き込めるのか。ここがプロモーションの成功確率を引き上げると言っても過言ではありません。
様々な対策があるとは思いますが、弊社の別コラムでも記載しているブティック型の取り組みが重要になってくると思っています。
http://s1o-i.jp/column/2016/1069/

2017年は広告主と各領域のプロフェッショナルがいかに適切なプロジェクトチームを組成し、実行していくのか、がより一層追求されていく年になると感じています。

(5)改めてユーザー視点でのプログラマティック広告の活用が再考される
どのようなユーザーにどのようなメッセージを届けるべきなのか。プログラマティック広告においては「枠から人へ」というキーワードを背景にターゲティング配信をどう駆使するのか、という文脈に傾倒することが多い気がしています。特定のkey(例えばcookieなど)でユーザーとの接点を多少なりとも作れるがゆえに、ユーザーのインサイトを思考することが減っているのではないでしょうか。オーディエンスターゲティングの設計は得意でもコミュニケーションの設計はやりきれていない。そんな相反する状況があることに懸念を覚えています

広告に触れていただくことで、人の気持ちを揺り動かす。そのためにどれだけ受け手≒ユーザーの気持ちになれるのか。当たり前のことですが、まずはここを考え抜くことが必要だと思います。
広告代理店・トレーディングデスク各社はいったんプログラマティック広告を忘れて、広告主と共に「広告活動全体の考え方」や「コミュニケーション設計の考え方」をしっかりと共通認識を持ち、そのうえでプログラマティック広告をどう活用すべきかを再考し、実行することが重要だと思います。結果として、施策そのものの価値をより高められると思いますし、広告主もそれを求めていると私は強く感じています。

いかがでしたでしょうか。
2017年は新たなチャレンジが待っています。トレーディングデスクとして大きく飛躍できればと思っています。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。


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