Column

2016.09.30

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オフラインとオンラインでの広告成果を最大化するアトリビューションマネジメント


トレーディングデスク局
Marketing Design Division マネージャー
関内 悟史

弊社のコラム連載第一弾「広告運用者が持つべき統合的なマーケティング展開の考え方」にて、オフラインの動向も踏まえたオンライン領域の広告運用の概要をご紹介しました。

2016年も後半に入り、弊社では上記のような取り組みが特に活性化してきました。特に、最終成果に対してオフラインとオンラインの広告施策がどのように影響を与えているかという貢献度分析の取り組みに注力しつつあります。最終的には広告運用に活かすことで成果を伸長していく必要があります。
成果の伸長に向けては、大きく分けて以下2パターンのどちらかが求められます。

・検証のサイクルをより早める
・分析精度を向上させる

取り組みをしていくうちに、上記の前者の条件を満たしていくことは少し難しいと改めて感じました。期間の短いイベント型のプロモーションや季節性が強い事業の場合は、どうしても広告貢献要素が見出しにくいためです。また、あくまでも分析上の視点ですが、検証サイクルの早期化にあたっては、ある程度一定の施策を行っているほうが好ましくもあります。特にオンライン領域において、「ずっと同じ」もしくは「大きな変化のない」広告施策を続けることはほぼないと考えています。
※例としてですが、配信するクリエイティブが変わるだけでも影響度合いは大きく変わります。

こうした背景から、直近では後者の分析精度向上に取り組んでいます。そこで、今回のコラムでは実用に向けて取り組み始めた分析の概要をご紹介します。

■ご紹介にあたっての前提条件
広告代理店の方はご担当されているアカウントで、広告主の方・コンサル会社の方はご自身の立場に置き換えてお考えください。
※オフライン/オンライン領域両方を取り組んでいる広告主様のほうがイメージしやすいと思います。

■もとになった考え方
「オフライン広告では認知」「オンライン広告では獲得」という役割の分担でお考えの企業様は非常に多いです。施策の内容や出稿の形態から考えても、こうした整理になることは弊社でも多々あります。

約1年前、2015年の後半頃からテレビCMがSEMやWebのコンバージョンにどう影響しているかを分析し、広告運用に反映し始めました。CM露出を行う番組によって、Webのコンバージョンやクリックに大きな差が出ることから、オフラインとオンラインの連動に大きな手ごたえを感じていました。
一方で、全体のざっくりとした影響関係は分かるものの、本当にコンバージョンに対するきっかけとなっているのかどうか、因果関係となりうるかを考えると少し粗くも感じました。1人の顧客という視点でコンバージョンまでの大枠の流れで考えていくと、以下のようなパターンに辿り着きました。

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上図④の場合は、3PASを活用した「コンバージョンパス」のレポートをもとに分析・対策することで広告配信効率の向上が見込めます。ただし、私個人の経験上ですが、コンバージョンパスレポートの分析のみで広告効果が大きく改善したという事例はそうありません。「配信費用がかさむ以上の効果改善が出ない」という声も良く聞きます。3PASで出てくるID毎に無数の行動パターンがあること、オンライン領域だけで完結するコンバージョンがそもそも全体のコンバージョンに対して多くのシェアを占めることはあまりないと考え、コンバージョンパスレポートのさらなる活用に至りました。

■どのように活用するか
はじめに、コンバージョンパスレポートで見ることができる内容のイメージは以下の通りです。

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出典:http://www.fringe81.com/blog/?p=1017

「1人の人」を3PASのCookieで計測することで、成果地点までの到達フローが分かります。CookieのIDベースで、いつ、何に、どれくらい接触してどのような行動を取ったのかがタイムスタンプ形式で確認可能です。3PASは、digitalice、Sizmek、Doubleclick Campaign Manager等が主なプレイヤーです。

まず、作業としてコンバージョンパスレポートで抽出される行動パターンを、数字でラベリングしていきます。Organic=1、SEM(Brand)=2、SEM(Non Brand)=3、Display(GDN オーディエンスターゲ)=4、Display(GDN リマーケティング)=5…というように振っていきます。デバイス毎に分けることと、Displayはリターゲティングとそれ以外に分けることがポイントです。
無数の数字の組み合わせになったところで、クラスタ分析を行います。弊社では、Rを利用して実施します。行動パターンを文字通りクラスタ化するのですが、Rの場合hclustのアルゴリズム指定でクラスタ数が異なります。以下は実際にクラスタリングした際の分布です。
※アルゴリズムにはwardの指定をお勧めします。

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さて、このようにクラスタリングが完了したら、時系列で各実施施策の情報を整理します。番組別GRP、BS/CS、スポット…といったオフラインの情報と並べて、オンライン広告の情報を入れていきます。メディア/プラットフォーム/ターゲティングを分けた状態で、imp、clickを並べていきます。外部情報としてブランドワードの検索推移や大きな変動の有無(値下げによる競合有意性の向上)等は、できる限り入れたほうが良いです。

上記事項を説明変数とし、目的変数には先程のクラスタ毎のCV数を入れます。これでデータセットが完成するため、ここから回帰分析を行います。テストケースで行った結果、以下のような相関確率の分布となりました。(実際のところ、番組やメディア毎でかなり差がありましたが丸めています)

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※AT:オーディエンスターゲティング、RT:リターゲティングの略です。

上記結果を見ると、クラスタ2はオフラインの広告に影響を受けてコンバージョンに到達しやすいことが分かり、クラスタ3はオンラインの広告に影響を受けてコンバージョンに到達しやすいことが分かります。「あまりテレビを見ない人達」という仮説も成り立ちます。判断が付きにくく、難しいのはクラスタ1でした。

こうした分析をもとにして、クラスタ1ではオーディエンスターゲティングのクリエイティブを大幅に差し替えることにしました。と言っても、厳密にクラスタ1に強いメディアを抽出できるわけではないので全体のimp/click数からクラスタ1のimp/click数の構成を出し、特に多いメディアだけを変更しました。

上記分析結果は相関確率のみにフォーカスしましたが、実際はCMの番組毎のCV数/CPAも概算で計算可能です。現在、出稿や施策の目的に沿った成果分析とアロケーションに着手し始めています。また、上記分析を行ったのは、収益性も販売数も多い「最注力」のグループです。

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コンバージョンの価値を踏まえ、最適なプランニングのための予算アロケーションを求めて分析を行いました。コンバージョンタグ①~④では、コンバージョンフローもメディアの相関・影響も全く異なるため、一度ご自身の案件でも取り組まれてみても面白いと思います。ROI軸でのアトリビューション、ROI軸でのオフライン/オンライン分析を行うことで、運用上多くのヒントを得ることができました。

■施策と役割を随時整理する
分析の例をもとに記載を続けてきましたが、「広告活動」という一言には様々な目的と施策が含有されています。宣伝として出稿するTVCMの目的は何か。販促として実施するチラシの目的は何か。オンラインで行いたいことは何か。これらを整理していくと、複数の目的達成を担う施策がいくつか出てくると思います。個人的には、そうした状況を否定する気は全くなく、むしろそれで良いと考えています。
様々なフレームワークがあり、競合動向やターゲット属性、市場動向を考慮することも多々あると思います。今回ご紹介した分析も、起点はあくまでも広告主の主観として、消費者の行動を考えたことに端を発します。

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上図のような、ざっくりとしたまとめでも結構です。ベン図のような整理でも良いと思います。感覚や経験から施策を決めることも多くあると思いますが、結果が想定と少し異なると感じた時、目的と合わせて立ち返ることができるようにしておいてください。恐らく、消費者はそんなに単純ではないと思います。いざという時のために、普段から仮説や影響度合い等に考えを巡らせておくことが、今後のマーケッターには必要だと考えています。

■最後に
今回に関わらず、ご参考になる事例や考え方をお出しできるよう、弊社は引き続き広告運用に注力していきます。ご紹介した分析の仕組みは現在開発している社内用の運用ダッシュボードに組み込むよう開発を進めています。いつの日か商品化した際には、改めてご紹介させていただきます。


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