Column

2016.08.04

広告運用における情報伝達深度の追求




トレーディングデスク局
Marketing Design Division マネージャー
関内 悟史

2016年8月現在、弊社では約30種類程の広告配信プラットフォームを用いて広告運用を行っています。
アカウントによってその限りではないこともありますが、運用では「誰に(オーディエンス)」「何を(メッセージ)」「どのように配信するか(コントロール)」という3要素を基本とし、設計や調整事項を考えています。

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弊社の根幹であるトレーディングデスク事業では、「広告運用によって如何にインプレッションの価値を向上させることができるか」を考えています。配信ログや各種レポートから考えることもできますが、大前提として「情報の受け手」がどう捉えるかを考えることが何よりも重要です。

■現在までの広告配信・計測環境の流れ
マーケティングの一環として、デジタル運用型広告の比率が伸長していることは皆様ご認識の通りです。
ディスプレイ広告にフォーカスした場合、現在までに以下の流れがありました。

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特に2011年頃からDSPが一気に台頭してきます。MicroAd BLADE、FreakOutといった国産のDSPが開発され、導入が進みました。各社さん共に、ターゲティング手法の充足/広告在庫の拡充/最適化学習ロジックに注力されていました。また、それまでに導入が進んでいたアドネットワークに加えて、上記DSPの台頭やモバイル比率の飛躍的な向上から「広告配信プラットフォーム」数が著しく増加しました。

「モノ」の数や種類が増えて複雑化したことにより、配信・計測環境の精緻さが求められました。
それにより、第三者配信(3rd Party Ad Serving)や各種広告効果計測ツールの導入が促進しました。勘や経験のみに頼らず、データに基づいたアトリビューションマネジメントが始まってきたタイミングでもあります。この頃、当社の事業柄様々な方とディスプレイ広告の運用についてお話しさせていただきました。「どのようなターゲティングができるのか」、「どう効率化できるのか」、「手動運用要素が多いものと少ないものではどちらが良いのか」、「結局どのDSPが良いのか」というトピックが多かったです。

当時に比べ、現在では新たな広告配信プラットフォームの出現は減ってきています。
また、運用調整という軸でも、結局のところ各プラットフォームにおける部分最適が主のままであるように感じています。

■運用調整における懸念点
前項の通り、様々な手法でのプロモーションができるようになりました。しかし、同企業同ブランドの広告主様で各種プラットフォームのリターゲティングを実施していることは非常に多いです。
こうした状況下で、効率を追求する場合はマーク設計とリーセンシー、ブランド毀損対策は広告配信先とフリークエンシーを鑑みることが往々にしてあります。しかし、それぞれ懸念もあります。マーク設計とリーセンシーは、マーク母数は当然として最適化学習を促進する主成分要素の考察、そもそも本当に配信が必要な状況かどうかという問題が発生することが多いです。事前にできる限りマークリストを細分化することは、余程の根拠がない限り個人的には推奨しません。また、広告配信先はホワイトリストを作成して整備した場合CPMの上昇やimpのアッパーが見え、第三者配信を行っていないと適切なフリークエンシーのヒントを得ることは難しいです。Inviewの定義も各プレイヤーによって異なります。

■どう「コントロール」するか
ここから少し視点を変えます。実際にご自身の行動で考えてみてください。平日と休日である程度行動パターンは分かれないでしょうか。例えばですが、以下のような場合です。

-始業/終業時刻に沿って一定の時間帯で通勤をする
-休日は午前中に買い物に行く
-週末の夜は飲みに出掛ける

どのような状況であれば情報を受け取りやすいか、物事を進んで調べるか、何かを検討するか、意思決定を行うかという消費者の行動は、上記のような習慣の中である程度決まっていることもあると思います。
配信の観点では、「WebサイトやLPに来訪した曜日/時間帯」は、その人にとって情報を取りに行きやすい条件とも考えられます。上記の考えに沿って配信した弊社の事例をご紹介します。

・業種:ダイレクト型の証券会社様
・背景:SEM、ディスプレイを様々展開中。
SPのリターゲティングが他施策に比べて効率が悪く、改善余地があると考えられる。
・設定:SPのリターゲティングマークリストの条件を変更
変更前)ページリストとリーセンシーでマークリストを作成して配信 ※PCと同一
変更後)来訪時間帯で区別し配信
・方法:Google Analyticsにて作成し、Adwordsにインポート

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・結果:変更後のパフォーマンスが改善

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今回の変更により、結果とは別に運用のプロセスとしてもメリットを得られました。

-配信対象のマークリスト数が減り、配信管理が容易になった
-インプレッションシェアが向上した
-デイリーでのimp数が増えた一方、CPCは抑制できた

受け手が普段アクションをしているであろう時間帯に絞ることで、リーチの機会はもとより「適切に情報を受け入れられる」機会が増加したと考えられます。配信イメージは以下の通りです。

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今後、次のフェーズとして前回のコラムで言及した機械学習を前提に、最適化要素(主成分)≒コンテンツや訴求メッセージで紐付ける準備を行っていきます。アクションをする時間帯によって人の「属性」も特徴が出ると考えられるため、クリエイティブの配色やコピー、配信先ドメインにも工夫ができると考えています。

■情報はどのように受け取られるか
デバイス、広告配信インフラ、ライフスタイル、アドフォーマット等様々な要素が多様化する中で、一般消費者が情報処理に使う時間の配分や集中度はどうなるでしょうか。『アテンション-「注目」で人を動かす7つの新戦略』(※)では、情報の受け取り方を以下のように区分しています。

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即時かつ短期的な情報から、如何にして評判や承認のフェーズを経てその先の「モノの検討」や「意思決定」のフェーズに進行していくかを考え、試行錯誤を繰り返していくことがデジタルでのブランディングには必要だと考えられます。

皆様がよく「知っている」企業やブランドについて、知るきっかけとなった最初の情報は恐らく無意識下で接触しており、何であったかは思い出せないことが多いと思います。先述の情報の受け取り方に対し、企業としての情報発信で大事なことは以下の通りです。

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広告運用上、管理画面から取得できる数字に一喜一憂し、コスト効率の良い条件の配信を増加させることは往々にしてあると思います。ただし、情報の受け手がコンテンツ利用/閲覧等のWeb行動を行う背景には習慣があり、目的があります。管理画面の数字だけを頼りに判断をすると、受け手のTPOに沿っていない一方通行のマーケティングになってしまいかねません。フリークエンシー調整も必要なことに変わりはありませんが、単純に回数別の実績から判断するのではなく、「情報価値を高められるリーチ」に必要であろう機会と回数を考え、仮説立てをした上で運用変数に取り組むべきだと考えます。

■まとめ
テクノロジーの進化は勿論のこと、可処分時間の変動によってデジタルの広告は変遷してきました。
特に昨今、柔軟な広告運用調整ができるようになってきている以上「誰にリーチを行うべきか」、「どのようなシーンでリーチをすると情報を受け取ってもらえそうか」、「どのように伝えれば良いか」はもっと突き詰めていける余地が多いと思います。相手の状況や感情を考えて、工夫・実行し続けることが情報到達深度を突き詰めていくことに繋がると考えています。また、新たな発見が見付かるかもしれません。
本コラムが、視点を柔軟にするきっかけになれば幸いです。

※『アテンション-「注目」で人を動かす7つの新戦略』(ベン・パー著、2016 飛鳥新社)


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