Column

2016.05.20

ジオ情報ターゲティングの活用方法




トレーディングデスク局
Marketing Design Division プロフェッショナル
原嶋 真吾

皆さまご周知のとおり、近年消費者の可処分時間の多くがスマートフォン上で消費されています。
それに伴い、昨年からデジタルマーケティングにおけるプロモーションの世界でも「ジオデータ領域」にさらなる発展の兆しが見え始めています。

ジオデータ領域に関する記事は昨年春以降たくさんあがっているため、本コラムではトレーディングデスクとしての側面も踏まえつつ、ジオに関する3つのお話をさせていただこうと思います。

■今までジオターゲティングが注目されなかった理由とは?
まず前提として、DSPの出現により「枠から人へ」の概念のもとにターゲティング方法やデータソースが急増普及しました。この背景もあり、刈り取り偏重型のターゲティングに拍車がかかっている状況にあると考えています。※否定する意図はございません。

今までもジオターゲティング自体は実施可能でしたが、パフォーマンスという観点で見てしまうと最終的にCPAが合いづらく、あまり注目されないターゲティング手法の1つだったと認識しています。

そもそも、ターゲティング精度に課題がありました。
PCにおけるジオターゲティングのデータソースは、基本的にIPアドレスです。例えば、ジオターゲティングで○○県を指定して「○○県に住んでいる方へ」というクリエイティブを配信した場合で考えます。もし、会社リースのPCを使っていて本社と支社が離れていたら○○県ではなく△△県に配信してしまうことは大いにあり得えます。このように、目的とするターゲットではない方にリーチをしてしまうことは往々にしてあります。

一方、スマホは携帯し続けるものなので、“スマホから取得できるジオデータ(※1)”にはターゲティング精度の課題解決が見込めると考えています。

■「ジオターゲティング」にトライする際の留意点
実行する方向けに、私の過去の経験則を踏まえてジオターゲティングにトライする際の留意点を5点お伝えさせていただきます。

(1)KPIをCPAのみでトライしない
リーチの観点をきちんと広告主様にご説明し、理解いただいた上で実施することが望ましいです。
これまで意図して狙えなかった層をターゲティングした上で広告配信を行い、コミュニケーションできることに価値があります。ここを誤ると「ジオターゲティング=CPAが悪いもの」という負の印象が根付いてしまい、発展スピードが遅くなる懸念を抱えてしまいます。

(2)KPIを来店で測りたい場合の“測り方”は要注意
ジオターゲティングのプラットフォームでは、裏側のデータを集約して移動記録をアウトプットすることもできなくはないです。ただ、特に都心部では緯度・経度の情報に加え“高さ”も位置を特定するための情報として必要になります。検証する際はご注意ください。

分かりやすい検証方法としては、広告限定のクーポンを発行して来店時に提示いただくことで対応する等がありますが、サンプル不足になって深堀りしづらいケースが多いため、KPIにするかは慎重に決めていただいたほうが良いかと思います。

(3)フットプリント(過去の行動ログ)データをセグメンテーションのベースとする
自身の行動を振り返ってみても、移動している最中に広告が表示されたとしても、そこからアクションする確率は極めて低いと思います。また、ターゲット且つジオデータが取得できている且つそこにいる人…となると極端に母数が限られ、いくら効果が良くてもスケールする術がほぼありません。
ジオターゲティングは、「今そこにいる人」と「過去そこにいた人(フットプリント)」という2つのセグメント作成方法がありますが、後者をベースとすることを強く推奨します。

(4)場所を特定するような過剰なメッセージは控える
個人情報の話と関連しますが、今私が市ヶ谷にいるとして、表示された広告に「今、市ヶ谷にいるあなたへ…」のようなメッセージがあると、「ジオターゲティング=個人情報を抜かれる悪いもの」という負の印象をユーザー側に与えてしまう危険性があるため避けるべきです。

(5)膨大なデータ量と戦うことになる
ジオデータを分析・検証する場合、かなり膨大なデータ量を捌く必要性が出てきます。粒度にもよりますが、Excelでは深堀りする内容に限界があります。大容量データを捌くための手段は保有しておきましょう。

■「ジオターゲティング」の本当の価値とは?
ここからは、スマホに焦点を当てさせていただきます。

ジオは「ターゲティング」もそうですが、「データそのもの」に価値があると考えております。
なぜなら、この行動ログそのものがオフライン情報(ユーザーの行動)をオンライン化できていることに加え、時系列でそのデータを読み解くことでユーザーの行動実態を把握(理解)することができるためです。

すでにジオデータはターゲティング手法のためのデータソースに留まらず、「マーケティングデータ」としての価値を持ち始めています。

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ジオデータ情報からペルソナを見出すことができると、メッセージングも再考できます。

例えば、不動産系の広告主様に置き換えると、上記例の人に対して物件の訴求をしたい場合、今までは東京にいる(いた)人という捉え方なので、東京内での住み替えを訴求していたかもしれません。
しかし、千葉に住んでいて東京で働いている人という捉え方であれば、引っ越しを検討してはいかがでしょうか?とユーザーのメリットとなりうるようなコミュニケーションができるようになるはずです。

また、今後「ジオデータの提供を検討している」という話も伺うことがあります。
実現すると、広告主様が持たれているDMP内にジオデータを取り込み、既存データとミックスして分析・検証ができるようになり、オンライン+オフライン行動でペルソナを作ることができます。
結果的にセグメンテーションの作り方が変わり、よりOne to Oneのコミュニケーションが現実味を帯びていく。そのような未来も遠くないと思っています。

■最後に
あくまでジオターゲティングは課題解決のための1つの手段です。実施することは目的ではありません。手段が目的化するケースも散見されますが、ご留意いただきつつ、ご覧いただいた方々の何かしらのご参考になれば幸いです。

※1:GPS・Wi-fi・基地局等、各社様ジオデータの精度をあげる取り組みをされています。また、スマホから取得できるジオデータは個人情報に該当するため、データ取得前にユーザーの許諾を取っているものを対象としています。各社様この点はかなり慎重に進められています。


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