Column

2016.12.26

プログラマティック広告関連事項の2016年総括


エスワンオーインタラクティブ
代表取締役社長 高瀬 大輔

早いもので2016年もあと数日となりました。本年はコンテンツそのものの重要性、Transparency(透明性)など多数の重要なトピックが挙げられ、私としても多くを考えさせられる1年となりました。
本コラムにおいては、広告活動のデジタル化における市場全般ではなく、当社の事業ドメインとなっている運用型広告(特にプログラマティック広告)を軸に2016年の総括をまとめてみました。
是非ともご一読いただけますと幸いです。

【2016年総括サマリ】
(1)Open AuctionからInvitation-Only Auctionへ
(2)「Verification/Privacy」カテゴリの重要性
(3)パブリッシャーの動きが活発化
(4)データ活用における広告活動のエコシステムが再構築された

それでは、以下より詳細にお伝えしていきます。

(1)Open AuctionからInvitation-Only Auctionへ
以前からPrivate MarketPlace(※以下PMP)というワードは見聞きされていたと思います。
2014年10月に電通がGoogleと連携しPMP構築の支援をすることを発表し、「電通PMP」としてローンチされました。その後「プログラマティック・ビデオアド」「Premium Smartphone シリーズ」と立て続けに展開されています。

弊社も2014年3月に国内初のPMP構築の専門会社である株式会社intelish(インテリッシュ)を設立しました。当初はまだPMPも市場認知は低く、特にダイレクトレスポンスと言われるCPA偏重型のプロモーションに当てはまりづらいこともあり、中々広く活用されない現状であったと認識しています(PMPはそもそもダイレクトレスポンスを促進するためのものではありませんが)。

一方で、広告配信のシステムを提供している各企業(例:DSP事業者等)がPMP配信に対応し始めたこと、「ブランド広告主」と言われる大手広告主が積極的にPMPを活用し始めたことが要因となり、2016年はPMPが広く活用され始めた年となったと感じています。

本質的には「枠から人へ」と言われるような世界観がありながらも、適切な人に、適切な場所で、適切なタイミングでメッセージを届けたいという当たり前の考え方を改めて認識して再考した結果、一つの手法としてPMPの活用が促進され始めたと捉えています。

ちなみに、細かい話ですが電通PMPはPMPではなく、Unreserved Fixed Rate(Preferred deals等と呼ぶ)と理解しています。細かい言葉の定義も踏まえてIabの定義するProgrammatic transactions typesをもとに以下にまとめておきます。

Programmatic Guaranteedに近づけは近づくほど、優先的に広告を買い付けることが可能であり、かつ広告単価も引き上がっていくものです。一般的にCPA目的で、かつRTBと呼ばれているものは一番下の「Open Auction」という領域になります。直接的な広告効果を追い求めたCPA指標での広告活動によるOpen Auctionベースの運用から、基本的なコミュニケーションの設計を再考し、Invitation-Only Auctionベースの運用に切り替わることが増えた2016年だと感じました。

(2)「Verification/Privacy」カテゴリの重要性
皆さんも良くご存じのカオスマップ。この左下部分に「Verification/Privacy」と呼ばれるカテゴリがあります。2016年はこの中のプレイヤーも含めて、多くのトピックが挙げられたのではないでしょうか。


出典元: http://www.slideshare.net/HiroshiKondo/jp-chaosmap-20152016

米国で多くの話題を呼んだ「アドブロック」。いたちごっこが続く「アドフラウド」。本質的なweb広告のあり方を問う一つの軸としての「Veiwability」。結果として叫ばれる「Brand Safety」。様々な議論を呼び起こした「Transparency(透明性)」。まさに業界課題の一つと言っていいでしょう。それら複数の要因もあり、このカテゴリの機能を広告配信に活用する動きは年々高まっています。

思い起こせば、2014年9月にYahoo!JAPANは自社DSPでのアドベリフィケーション機能の強化を目的として米インテグラル・アド・サイエンス社と業務提携をしています。さらに遡れば、2012年頃に大和ハウス工業がcci社と共同でアドベリフィケーションに向き合い、その実験ケーススタディを発表したことが記憶に新しいです(個人的には、当時、国内においては先進的なお取組みだったと感じています)。

その後、当領域に幾度となく同じような議論がなされ「大事だよね」と結論付けられつつも、あまり対策が講じられてこなかった認識がありました。しかし、近年、国内においてはMOAT社Momentum社の2社が多くの企業と提携し、上記の業界課題に対して積極的に活動されていたと個人的に感じています。
より本質的な広告を配信すべく、マーケッター、広告代理店、トレーディングデスク、配信プラットフォーマー、媒体社、各社が同じベクトルで課題解決に向き合えればと強く感じた2016年でした。

(3)パブリッシャーの動きが活発化
相対的に見て、日本のインターネット広告市場においてはどうしても広告主(バイヤー)の力が非常に強いと言われてきました。本年も大きな潮流は変わらないまでも、今までとは異なる動きが多々見受けられた年だと感じています。あえて挙げるとすると、以下があります。

・オールアバウトナビ「citrus(シトラス)」開始
 http://corp.allabout.co.jp/corporate/press/2016/160422_01.html
・Rubicon Project×CXENSE 「DELTA Publisher Alliance」提供開始
 http://rtbsquare.ciao.jp/?p=11411
・PubMatic 「Japan Publisher Alliance on Digital」発足
 http://www.pubmatic.co.jp/pressrelease/20161031/
・「イードパブリッシャートレーディングデスク」の提供開始
 http://www.iid.co.jp/news/press/2016/120601.html

いずれも広告視点でいえば、よりCPMを引き上げることに繋がるのではないでしょうか。
まるで英国で展開されている「Pangaea(パンゲア)」モデルのように。
http://digiday.jp/publishers/pangaea-symmachia-pubulisher-alliance/

数年前から「枠から人へ」という世界観に突入し、プログラマティックバイイングの波に晒されながら徐々にCPMを安価に販売せざるを得なかった昨今、改めて自社コンテンツの質の高さを広告価値に転換する取り組みの一つとして注目された年だと思います。

(4)データ活用における広告活動のエコシステムが再構築された
通常の広告配信に際して外部のデータを活用する機会が非常に増えた年だと思います。
もちろん3rd party dataとして様々なデータが活用されていたのは今年に限ったことではありません。
ただ、過去においては、いずれもターゲットのセグメンテーションを細分化するためのデータ活用に留まっていたと感じています。

昨今では、この動きに加えて「本当に届けたいユーザー」を見出すために活用されるケース、もう一つは「外部変数として鑑みる」ためにデータ活用されるケース、の2つが挙げられます。

■「本当に届けたいユーザー」を見出すためのデータ活用
これまではネット上の閲覧・行動履歴を基にした広告配信が多く見受けられましたし、現在も多用されています。一方で、リアルな世界の行動履歴を基に広告配信のプランニングを行うことも同様に多く展開されたと感じています。例えば「リアル行動ターゲティング」というコンセプト。こちらも、まさにその内容は言葉通り、「リアルな行動履歴をプランニングに活かす」ことと捉えます。
http://www.di-d.jp/?page_id=2166

代表的なデータは「位置情報」です。位置情報を専門に扱う広告配信の会社も多数出てきていますし、広告代理店の自社ソリューションとして展開されているケースも多くあります。活用の仕方は多岐に渡りますが、単純なセグメンテーションに位置情報を活用する以外に、過去の位置情報データを分析し、商圏を見出すものや、結果として「本当に届けたいユーザー」を見出すために活用されるケースが多く見受けられたことが印象深いです。

■「外部変数として鑑みる」ためにデータ活用されるケース
こちらはオープンデータと言われるものが対象となることが多いです。主に天気、株価、等々を指します(広告活動視点の話のため、一般的な「オープンデータ」よりも範囲は狭いものと捉えています)。ECを展開されている広告主も、これらオープンデータを活用した広告配信は多数チャレンジされたのではないでしょうか?インターネット上の様々な履歴(行動系)だけを活用した広告活動では完結せず、当たり前に外部変数の影響を多分に受けるわけです。結果として、天気や株価といった世の中の動きに合せて広告活動を展開し、最適化をされている広告主が非常に増えたと感じています。

また、データ化が難しいオフラインの広告活動の動きも、この「外部変数」の対象となり得ます。
広告主はオフライン・オンラインいずれも「いち手段」として多数展開されています。そして、企業活動の全般であるバリューチェーンを最適にし続け、顧客との接点では最大限良き体験を提供し、結果的に消費者に選んでいただく。このための一つのアクションが広告活動であり、その一つがインターネットを活用したプロモーションだと捉えています。

一方で、データを活用し様々な施策を横断し、データを軸に広告施策を展開することはなかなか難しい現状もあることも事実です。ここを解決するために様々な知恵をこらし、データを蓄積し、可視化し、広告活動に転換する企業がこれまでで最も多かったと感じました。まさにデータストレージ、データマネジメント、ダッシュボード、といった言葉が飛び交ったのも頷けます。

結果として、データを蓄積する、データを整備する、実行する、可視化するといったプレイヤーが淘汰され、出揃ったのではないでしょうか。まさに、データを活用した広告展開をスムーズに行うためのエコシステムが出来つつあると感じた年でした。

いかがでしたでしょうか。
いずれも皆様の中で思い当たる節が少なからずあるのではないでしょうか。
トレーディングデスク事業を主軸に展開している弊社として、当コラム以外の内容も多くを経験することができた2016年でした。2017年は上記を踏まえて、さらなる飛躍の年と出来ればと思っております。

改めまして、本年も誠にありがとうございました。
来年も引き続きよろしくお願い申し上げます。


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