Column

2016.11.30

SNSの浸透とコミュニケーション設計の変化


トレーディングデスク局
Sales Division 馬場 翔子

■はじめに
私がSNSを始めたのは2012年、大学生になるのと同じタイミングでした。LINEもFacebookもメールの代替として使い始めましたが、今振り返ると、大学に在籍していた間にSNSの使用用途や接触時間・タイミングが大きく変わってきました。こうしたSNSの浸透や変化の過程を踏まえ、広告運用やプランニングに携わるトレーディングデスクの視点から、この先考えられるコミュニケーション設計について言及します。

■SNSの普及とコミュニケーションの形
SNSは人と人との繋がりを促進・サポートするコミュニティ型サービスのことを指し、世界最大のFacebookや、140字以内のつぶやきを共有するTwitterが有名です。社内専用SNSを導入する企業も多く、目的に応じて様々なSNSが広く使用されています。基本的な登録やサービスが無料で利用できるケースが多くコストが掛からないこと、多くの人に一度で情報を伝えられ、かつリアルタイムで反応が返ってくることが特徴です。SNSが普及した要因は下記の2点にあると考えています。

(1)スマートフォンの普及
(2)ビジュアルを重視したコミュニケーションの活性化

従来のフィーチャーフォンは、電話・メールが主であり、絵文字や顔文字での感情表現こそあったものの、テキストを中心としたコミュニケーションでした。

スマートフォンでは、通信インフラが充実した結果として大容量、高品質、高速での情報交換が可能となりました。それに伴い、アプリによるカメラ機能が充実(撮影・加工・編集が可能になったこと、高品質で長時間の動画撮影が可能になったこと等)したことで、テキストではなく「見れば分かる」ビジュアルを重視したコミュニケーションの比重が高まりました。

個人的には、今思い返すとスマートフォンを使い始めた当初、TwitterやFacebookは文字要素が強いSNSだと感じていました。徐々に写真や動画のシェアを主とした投稿割合が高まっていき、Facebookにおいては、いまや文章のみの投稿はむしろ珍しいと感じるほどになりました。当コラムをご覧いただいている方々も、親しい友人や家族とのコミュニケーションでは写真や動画、スタンプを用いたコミュニケーションが多いのではないでしょうか。

■手軽な情報発信の実現と情報接触時間の変化
コミュニケーションが文章よりも写真や動画、スタンプを用いたコミュニケーションに変わっていった要因は下記の3点にあると考えています。

(1)文字よりもはるかに多い情報を伝えることができる
(2)与えるインパクトが強い
(3)手軽に情報の発信を行える

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フィーチャーフォンは通話やメール、カメラ機能の利用が主で発信先が明確でした。1:1で「誰か」と繋がるためのコミュニケーションツールとしての役割が主だったように思います。インフラの影響もあってインターネットへ接触する時間は限られており、「気になったこと」があれば、それを調べるためのメディア接触や行動でした。

一方、スマートフォンは情報の発信先が1:1とは限りません。顔の見える友人だけでなく、他人に知られることを前提とした多数に向けての情報発信が可能となりました。明確な「気になること」がなくても、メディアに接触している時間が増加しました。情報への接点・接触時間が増え、ユーザーはむしろ「気になること」「興味のあること」を探すためにメディアに接触するようになったと感じています。下図の接触時間の推移を見ても明らかです。

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SNSでも、もともと興味のあるメディア・人・企業だけを絞って利用します。その中で自分の興味のある情報を目にしたら、フォローをしたりリンクをタップしたりするだけで、主体的に検索しなくとも詳細な情報をすぐ知ることができます。

その結果、情報を取得する方法も変化しています。例えば、あるトピックに対して検索を行う際、GoogleやYahoo!を避け、あえてTwitterの検索機能を使用する場合があります。SEO対策がなされている検索エンジンではなく、利害関係のない他人が発信している情報を信頼し、取り入れることが一般化しています。ユーザーの検索行動としてだけでなく、APIを用いてTwitter上のつぶやきを解析し、トピックに対する感情を数値化する試みも行われてきました。
ビジュアルに特化したSNSの代表格はInstagramですが、写真の投稿に特化したSNSとして発展した結果、「#」をハッシュタグとして利用し、検索エンジンとしての使われ方をするようになりました。

検索エンジンを用いていくつものサイトを見比べる必要もなく、自分の興味のあるものを探索し、把握するところまでが1つのメディア内で完結してしまいます。また、先述のようにSNSによっても特性があるため、様々なシーンでの利用があることから、モチベーションにも違いがあります。

■企業が気を付けるべきSNSでのコミュニケーション
SNSを始めた当初、企業のアカウントは既存顧客とのコミュニケーション(コアなファンに向けての情報発信)を行うカスタマーサービスとして使用されていることが多い印象を持ちました。変化を感じたのはLINEの公式アカウントの出現でした。LINE公式アカウントによって、クーポンの配布やキャンペーンの告知等、プロモーション要素が強いメッセージに接触するようになりました。
最近ではbotを利用したコミュニケーションも活性化しています。ユーザビリティを向上させるためのSNS活用は、今後も一層進んでいくと思われます。

こうしたカスタマーサービス向けのコミュニケーションはコアなファンから喜ばれる一方、広告は特に避けられやすいものだと感じています。Instagramに広告が出始めた際は嫌がる声を多く聞きましたし、Twitterでも広告に対する不満を漏らすツイートが拡散されるのを頻繁に目にします。個人が興味のある対象だけを絞って情報収集をしている状況で、意図しないような投稿が紛れ込むことに対して嫌悪感を持つユーザーは多いと思います。情報を押し付けるだけになってしまわないよう、利用環境や意図を汲むことが大事です。

■ユーザーのモチベーションに沿ったSNSでの広告出稿
テクノロジーの発達により、企業は多くの人に同じメッセージを伝えるのではなく、趣味嗜好や興味関心に応じてターゲットを細分化し、メッセージを出し分けることが可能になりました。LINEビジネスコネクトやFacebook Messengerを利用した1:1でのコミュニケーションもいずれ主流になると思いますが、現状ではターゲットごとでのメッセージの出し分けが一般的です。

エスワンオーインタラクティブに入社し、広告のプランニングを実施する側に回ってから、SNSはコアなファンとのコミュニケーションを目的とするメディアとしてよりも、見込み顧客に幅広くリーチするためのメディアとして役割を与え使用することが多いです。その際に重視しているのは、SNSに接している時のユーザーのモチベーションを意識したコミュニケーションの設計です。

スマートフォンはもともと通話やメッセージのやりとりのためのコミュニケーションツールです。そのため、ユーザーはスマートフォンを通してアクセスするメディアに対しても、コンテンツを通じて繋がっている知人との情報共有等、何かしらのコミュニケーションがあるという感覚で向き合っています。
広告を出稿するにあたっては、そのメディアの特徴やターゲットを適切に理解することが欠かせません。

例えば、Instagramは好きなものや憧れの対象だけが集まったメディアで、投稿されるのはポジティブな内容のみに絞られています。そのため、ネガティブで危機感を煽るような投稿や広告は嫌がられやすく、より理想の姿、欲しいと思われるものを前向きに伝えるメッセージのほうがメディアに馴染み、好まれます。そのメディアの特徴を掴み、ユーザーがメディアに抱いている印象を裏切らないことが重要です。

ユーザーは、SNSのフィード上において文章と写真、動画が混ざり込んでいる中から全てを丁寧に読むのではなく、一瞬で自分に「必要だと思う情報」「興味のある情報」だけを判別します。広告も友人の投稿も、常に並び立つコンテンツとして見比べながら感覚的に選んでいます。ユーザーに興味を持ってもらうのに重要なのが、アドフォーマットとクリエイティブです。Facebookにおけるカルーセル広告やキャンバス広告、縦型動画等広告のフォーマットの多彩さは増すばかりです。インフィードが前提のSNS広告において、いかにユーザーの目を引き、コンテンツに没入させるかを考えるにあたり、動画なのか静止画なのか、それをどう見せるのかを担うフォーマットの重要性は今後より高まっていくと考えています。

ユーザーに目を止めさせた上で次の行動へ誘導するには、そのコンテンツが自分にとって必要であると感じさせなければなりません。それには下記4つのケースがあると考えています。

(1)話題/トレンド:周囲でブームになっているもの、季節性の高いイベント
(2)趣味:好きな芸能人やスポーツ等、もともと関心の高いこと
(3)課題感:引っ越しや転職等、ユーザーが抱えている課題
(4)直感:好きな色や美味しそうな料理等、本能的に反応

商材やこれらのパターンに合わせ、メディアやアドフォーマットを選定し、クリエイティブを作成すること、生活や行動習慣を考えた上で配信タイミングやフリークエンシーを考えていくことが重要です。

■音のメディアにおけるコミュニケーション
「AWA」「LINE MUSIC」「Apple Music」「Google Play Music」、2016年11月10日に本格的にサービスを開始した「Sportify」と音楽ストリーミングサービスが話題です。特にSpotifyに代表されるように、音の中での広告展開も進んできています。当然ですが、広告は音声のみに頼らざるを得ません。この場合も、先述の内容と同様にユーザーのモチベーションを意識したコミュニケーションが重要になると考えています。

利用環境で考えてみると、スマートフォンでの音楽サービス利用においては、起動がアクティブかバックグラウンドかによってもユーザーの状態は大きく異なります。スマートフォンを触りながら音楽を聴いている場合、気になったことがあればすぐ検索行動に移れますが、スマートフォンをポケットやバッグに入れていたとしたら、そこから検索行動に至るには画面のロックを解除し、検索画面に移るといったステップを踏ませなければなりません。そこで、スマートフォンがアクティブに起動している場合は、具体的な商材や機能を訴求してすぐに検索したくなるようなメッセージの広告を、バックグラウンド起動の場合はブランディングを目的に、耳に残るフレーズを繰り返すような広告を複数回出稿するというようなコミュニケーション設計が考えられます。

また、配信コンテンツから考えると、聴いている曲がアップテンポかスローテンポか、メジャーコードかマイナーコードかによってユーザーの気分を類推することもできるでしょう。音楽の要素をジャンルや発表年月日だけでなく、テンポやコードと細かく分解することができれば、よりユーザーのモチベーションを意識したコミュニケーションが可能になると考えています。

音に特化しているマス媒体はラジオですが、音のみでの広告の場合、ラジオ出稿にあたってのノウハウが非常に役に立つと考えています。何かしらのアクションを促したい場合、上述のような利用環境の切り分けが考えられますが、ほとんどの場合「何かをしながら」音楽や音のメディアを聞いていると思います。そのため、認知・想起を上げるようなクリエイティブは、通常のデジタル広告とはまた違ったものになると思われます。

一方で、意図するターゲットに対し、どこで、何を、どのように伝えるかを考えなければならないのは、メディアがバナーであっても音であっても同じです。プランニングの基本として、この先も変わらないものと考えています。

■最後に
今回はSNSの浸透とそれに伴うコミュニケーション設計についてお話しました。
SNSの活用、SNSでの広告出稿にご興味やご要望等ございましたらお気軽に弊社までご連絡ください。


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